第46章 新たな主
レンは起こしてもらって、支えてもらいながら座椅子に座る。
「どう?いいでしょう?」
大和守が楽しそうに笑う。
「はい。楽ですね、これ。」
傷に無理のない角度で起こしてもらうと、楽に座ることが出来た。
「はい、どうぞ。」
そう言って大和守から渡された器には、熱々のお粥が盛られている。
見てみると、にんじん、しいたけ、大根の葉などなど、具沢山だ。かつお出汁のいい香りが、何とも言えず空腹を際立たせる。
「…いただきます。」
一緒に渡された木のスプーンで一口掬って入れると、口いっぱいに優しい味噌の味が広がった。
具材も米も無理なく味が混じり合っていて、それぞれがいい塩梅で統一されている。
元気だったら口いっぱいに頬張って味わいたいくらいだ。
思わず笑みが溢れるのがわかった。
ふと視線を感じ、そちらに目を向けると燭台切が嬉しそうにこちらを見ていた。
目が合うと、穏やかに笑ってから視線が外れた。
レンは、味わうようにゆっくりと食事を進める。
燭台切の料理はやはり絶品だと、改めて思い直す。
レンは何気なく周りを見回すと、刀剣達は全員揃っているようだ。
こうして見ると、なんら人間と変わらない。
けれど、彼等は紛れもなく付喪神だ。人間じゃない。
その付喪神が人のようにご飯を食べている様は、改めて見ると、摩訶不思議な光景である。