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君に届くまで

第46章 新たな主



「門の外が騒ついていたのを見たので、好機になるのでは、と思いついたものですから。つい。
まさか、氷の盾が突き破られるとは思いませんでした。」

「いや、そうじゃない!
な・ん・で・!一言の相談もないんだ!ってことなの!!」

加州が会話に割り込む。

「そうそう!一言でも相談があれば僕達だって、動揺することもなかったんだから!」

「すみません。けど、そのお陰で五稜郭はガラ空きでしたから助かりましたよ。決死の覚悟は伊達じゃないですね。」

「ど・の・く・ち・が!それを言うんだ!!」

加州は怒りが収まらず、レンの頬を思い切り引き伸ばす。

「いひゃい、いひゃい…!」

レンは堪らず声を上げる。

「まったく!今度やったら許さないからね!!」

「…すみませんでした。」

レンしおらしく素直に謝っておく。
これ以上は傷に障る。



「まったく、キミは。退屈させない奴だな。」

鶴丸は苦笑する。
言いたいことは大方加州達に言われてしまったが、残り一つは自分で言いたいと思う。

「レン、ありがとう。俺達の主になってくれたこと、礼を言う。俺はキミが主となってくれたことを誇りに思う。」

鶴丸はそう言って少し頭を下げる。

「俺達はレンを歓迎する。レンを主とし、末永く仕えよう。」

鶴丸に倣い、その場にいた全員が軽く頭を垂れた。

レンは突然のことに戸惑いを隠せない。

困り果てていると、丁度燭台切がお粥を盆に乗せ、運んできた。

「まぁ、さておき。ご飯にしようか。」

燭台切はそう言って、朗らかに笑った。
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