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君に届くまで

第46章 新たな主




佐々木は、仲良く服を選んでいる2人の後ろ姿を見ながら思い出す。
どう見てもここ最近ひっきりなしに流れている映像の人物達に見える。

「…ひょっとしてさ。この間、国会議事堂を占拠してたのって…君等?」

突然の問いかけに加州と大和守は手を止め、驚いて佐々木を振り返る。

「何で、知ってるの?」

やっぱり、と佐々木は確信する。

「なんでも何も、すごい騒ぎだよ。ネットもテレビもある意味大炎上。
刀剣男士なんて、存在は知っていてもツチノコみたいな幻の存在だったからね。それが歩いて喋って怒ってるんだから。騒ぎにならない方が可笑しいよ。」

佐々木は朗らかに笑う。

「で、親戚のあの子は審神者、っていうんだっけ?」

「はは…。俺等ばっちり映ってた?」

「すごいばっちり映ってた。」

佐々木はいたずらっ子のように笑った。
加州は観念して、両手を上げる。

「…まぁ、そういうこと。レンは今怪我してて本丸で寝込んでるんだ。」

「大丈夫なの?」

怪我をしてるのか。報道では何も言っていなかったが。

「この子が大丈夫って言うんだから、たぶん平気だと思う。」

そう言って、大和守はカバンを開ける。

「お初にお目にかかります。わたくしは管狐のこんのすけでございます!」

「…わぉ。わんこが喋ってる…。」

犬が喋るなんて、漫画の世界でしか見たことがない。
佐々木は、あまりの驚きに一歩仰け反った。

「…人間にはわたくしは犬に見えるのでしょうか。」

それを見たこんのすけは、耳をしょぼんと落としてガッカリした。










「ありがと〜。また来てね〜。」

佐々木が玄関先まで見送ってくれる。

「ありがとう、佐々木さん。今度来る時はレンも連れてくるよ。」

「そうだね、待ってるよ。」

佐々木はにっこり笑って答えた。

店を出ると、空が茜色に染まり始めていた。いつの間にか雲が晴れている。
明日はいい天気になりそうだ。

「いい人だったね。」

大和守は空を見上げながら言った。

「でしょ。物もイイし、俺のイチオシ。」

「確かに!」

大和守は買ったばかりの服を満足そうに撫でた。

「では、本丸に戻りましょうか。」

「お願い、こんのすけ。」

「お任せあれ。」

加州のお願いに意気揚々と答えると、こんのすけは術を発動させた。
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