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君に届くまで

第46章 新たな主




翌日。

俺と安定は現代へ来ていた。
天気は生憎の曇り空。けど、雨が降ってないからまだ助かった。
俺達は食料の買い出しとレンの薬や包帯などを買いに来ていたのだ。これが土砂降りだったら折角の現代もただの苦行でしかない。
俺は持っていたメモをざっと確認するとポケットに仕舞い込んだ。
食料より日用品の買い出しを先に済ませた方がいいだろうな。

「なんで僕が…。」

隣で安定がぼやく。

「仕方ないじゃん。あの格好で行ったら目立つし。レンの服が一番似合うのお前しかいないんだから。」

まさか和装で来るわけにもいかないだろう、と思う。
そんなことしたら、注目を浴びかねない。
騒ぎを起こした直後で目立ったら、政府に何をされるかわかったもんじゃない。

「だからって僕が女の子の格好なんて可笑しくないか?」

まぁ、納得はいかないよな。俺だって御免被る。

「大丈夫!似合ってる!すっごくカワイイよ!」

代わる、と言えない俺は、安定を宥めようと誉めることにした。

「だったら、清光が着ればいいだろ!」

安定は怒り出してしまう。
あちゃー。逆効果だったか。











「いらっしゃい…って清光くん?」

店長こと、佐々木は再度来店したお客に驚いた。
ここは加州がレンと立ち寄った服屋だ。

「お邪魔します。今日は俺の兄弟の服がほしくて。」

加州は苦笑する。
手には随分な荷物を抱えている。

加州の後ろから、不貞腐れた子が入って来た。
その服装には見覚えがある。
確か、親戚の子にコーディネートしたような…。

「また女の子?」

「違います!僕は男です!」

驚いた。声は男の子だ。

「実は、レン…この間の親戚の子、今寝込んじゃってて。こいつ着物しか持ってないから、着れる服を着てきたんです。」

それでか、と佐々木は笑う。
男の子でレディースをこれだけ着こなせる子は奇特だ、と佐々木は思う。

「どうぞ。ゆっくりしていって。」

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