第46章 新たな主
「元々、鴉が刀剣達を時間遡行軍に変えたんです。変えられた本人が国会議事堂でそれを証言したら、面白いことになりますね。」
主様は、にっこりと無機質な笑顔を見せました。
傍目に見ても少し怖かったです。
今度は補佐官様も、はっきりと顔色を悪くして狼狽え始めました。
「その犯人が鴉だ、と私が証言したら?」
「何故、それを…。」
「本人が直々に目の前でやって見せてくれましたから。
儀式の間の鍵、出してくれますよね?」
補佐官様は苦い顔をしたまま黙って鍵を差し出しました。
「…こんのすけ、お前は政府の為にあるのだぞ。」
補佐官様は静かにわたくしを糾弾しました。
その言葉にわたくしは不快を抱かずにはいられませんでした。
「政府は…、あなた方は、わたくしをただの”物”と見ているのでしょうか?わたくしは、わたくしを抹消しようとしている政府の為に、何をせよとおっしゃるのですか?」
わたくしの拒絶ともとれる言葉に、補佐官様は大層驚いておいででしたが、結局、何もおっしゃることはありませんでした。