第46章 新たな主
扉の前にいたボディガードを容易く倒してしまわれて、秘書の方も通報する間もなく気絶させられてしまいました。
主様は躊躇いもなくドアを開けると、補佐官様は大層驚かれておいででした。
「単刀直入に言います。儀式の間の鍵を渡してください。」
「断る。」
「…まぁ、そうなりますよね。」
「何故、管狐を連れている?」
「こんのすけは、あなた方が殺したがっているから奪還したんです。この子は本丸で起きた全てを知っている重要な生き証人ですから。」
「わたくしから説明いたします。」
わたくしは補佐官様に、今まであった全ての事を掻い摘んで説明いたしました。
前審神者の所業、前田様の焼き討ち、刀剣達への冒涜。
しかし、補佐官様は何の反応も示さなかった。
「わたくしは、この方を主として本丸に迎えたいと思っております。この方ならばきっと刀剣達は良き方に向かうでしょう。
ですからお願いいたします。どうか鍵をお貸しください。」
「ならない。その者は人格に難ありと見做す。」
「…今更人格ですか。なら前の審神者達は人格者だったとでも言うんですか?」
「過ぎたことは塗り替えることは出来ないが、今は出来る。」
「そうですか。ならば審神者を束ねるあなた方も人格を問われるべきですよね?」
「…何が言いたい?」
「今、刀剣達が国会議事堂に乗り込んでいます。」
主様がそう切り出すと、補佐官様の目つきが変わりました。
「先日、私達は時間遡行軍を人質として捕らえました。衆目に晒して浄化させることも出来ます。もしかしたらもうした後かもしれませんが。浄化させるとどうなるか知ってますか?元の刀剣に戻るんですよ。
あれが人の目に触れた時、政府は今の立場を保っていられるでしょうか?」
「…ほう?」
補佐官様の顔色が、少し変わりました。
焦っておいでのようでした。