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君に届くまで

第46章 新たな主





「う…わ。酷い傷だね。貫通してるよ。」

「これ、病院行かなくて大丈夫なの?」

加州、大和守はレンの傷口を見ながら痛そうに顔を歪める。
左肩と言うより、肺を損傷しているのではないだろうか。

「取り敢えずは傷口を清潔にしておこう。後は様子を見て薬が効くか試してみようぜ。」

薬研が傷口に清潔な布を当てながら、止血にかかる。

「使える布団探してきたぞ。あと手ぬぐいも幾つかあったから持ってきた。」

「あ、主様…。大丈夫でしょうか…。ずっとこのまま、なんてことは…。」

「縁起でもないこと言わないで…。」

厚、五虎退、乱が広間に戻ってきた。
後ろから、布団を幾つか抱えた大倶利伽羅と鶴丸が続く。

「とにかく出来ることをしよう。」

燭台切の声に皆は一つ頷きを返す。

「あ、こんのすけに現代に連れて行ってもらおうよ。薬とか買えるかもしれないし。出来ない?」

加州はこんのすけに是非を問う。

「主様のお力を分けてもらえるので可能です。ただ、もう少し回復してからが良さそうですね。」

こんのすけがレンの側で彼女を見つつ答えた。

「ただ寝かせておくだけで、大丈夫なの?」

大和守が心配そうに尋ねると、こんのすけは注意深くレンの状態を視る。

「今は、神気の回復を最優先しているのではないかと思われます。大怪我に変わりありませんが、生命の危機では御座いませんのでご安心を。」

「こんのすけは、レンちゃんと主従の契りを結んだのかい?」

燭台切が問う。

「はい。五稜郭へ潜入して契りを交わしました。」

「じゃあ、本当にレンが正式な審神者?」

乱が確認するようにこんのすけに問う。

「左様です。」

こんのすけは穏やかに笑う。
それを見て、彼等も嬉しそうに笑った。

「止血出来たぞ。」

薬研と燭台切は、手当てを終えてレンに浴衣を着せていく。
大倶利伽羅と鶴丸は、てきぱきと布団を広げ整えていくと、着替え終わったレンを抱き上げて、布団に寝かせた。

「順を追って説明いたします。」

説明を聞こうと、彼等はこんのすけの周りに集まった。
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