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君に届くまで

第45章 突入


その時、カチリと小さな金属音がレンの耳に届く。
レンはすかさず氷槍を生成すると、銃口目掛けて投げ飛ばした。

ガシャン!!

けたたましい音を立てて、彼等の後方斜め上に槍が突き刺さり、銃はバラバラに砕け散った。

「ひっ…!」

銃を持っていた者は、あまりの恐ろしさに尻餅をつく。

「次は持ち主に当てますよ。」

隠れ潜んでいた戦闘員は、レンの冷たい声音に震え上がった。



「取引しましょうか。」

そう言ってレンはその場で屈むと、髪を掴んでいた人物の顔を山姥切に見せる。

「この人に見覚えありませんか?」

「鴉…!」

山姥切はぐったりした鴉を見て顔色を変える。

「お望みとあらば返してあげますよ。但し、私達に手出しは無用でお願いします。」

「お前…」
「どうします?このままこの人を晒し者にしたっていいんですよ?」

山姥切は突然の劣勢に思考が追いつかない。
下手に結論を急いではならない、と自身に言い聞かせつつも正しい答えを導き出せずに逡巡する。

レンは、それを見て取り徐に立ち上がると、自身に刺さったままの刀の柄に手を添える。

「それともこの場でこの刀、粉々に折りましょうか?」

「わかった。お前達に手出しはしない。」

即答だった。
刀剣にとって刀は即ち心臓である。
あれを質にとられたら打つ手など皆無だ。

レンは山姥切の返答の速さに内心ほくそ笑む。

「今後とも、我々に手出しはしないでください。」

「その条件を飲む。その代わり鴉とその刀を返してくれ。」

山姥切は手を差し出すが、レンはまだ動かない。

「信用に足る証拠を出してください。」

「何だと?」

「あなたが約束を守るという証拠ですよ。」

レンは山姥切を強く見据えて圧力をかけた。
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