第45章 突入
「がはっ…!」
一泊遅れてドゴンっ!という衝突音が響く。
燭台切は、刀が振り下ろされないことを不思議に思い、目を開けて前方を見てみると、長谷部が四肢を投げ出して机の前で気を失っていた。
「すみません。遅くなりました。」
隣を見ると、消えたはずのレンがいた。
髪はボサボサで服もボロボロの満身創痍だった。
極めつけは、左肩に刀が刺さっているという異様な出立ちだ。
しかも左手で知らない誰かの髪を鷲掴んで引きずっている。
この人は一体どこで何をしていたんだ。
誰もが唖然とレンを見る。
レンは委細構わず、堂々と立つと山姥切を見据える。
「今から私がここにいる刀剣達の主です。私の許可なく彼等を屠ることは許しません。」
彼等は、何が何だかわからずに瞠目する。
レンが主?だって正式な審神者じゃないって…。
山姥切も同様に訳がわからず困惑していた。
状況を理解出来ないながらも反論をしようと試みるも、
「何を…、何をいきなり…」
「下がれ。」
途中で遮られてしまう。
レンは殺気を滲ませ、山姥切達に凄む。
その気迫は本物で、屍を積み上げてきた者の圧だった。
気圧された山姥切達はゆっくり後退る。