第45章 突入
「こんなもんか。」
レンは独り言を呟くと、観覧席から下を見下ろした。
当然のことながら、人質に取っていた議員達は一人もいなかった。
下ではまだ勝負が付いていない。
レン周囲を見渡すと、反対側の観覧席からやや大きめの銃を下に構えている者が見えた。
レンは慌てて下を見た瞬間、破裂音が響き燭台切が大腿を押さえて膝をついた。
「もらった!」
太郎太刀はその隙を逃さず、大きな刀を振り下ろすが、加州が太刀筋の間に滑り込み、重い一撃を受け止める。
「くっ…!」
だが、打刀の加州では荷が重い。
その間にも銃は装填され、また下に照準を当てられる。
「くそっ!」
レンは悪態をついて、観覧席の手摺りに飛び乗ると大きく跳躍する。
下に降りきる前に氷で盾を生成すると、迷い無く射線上に飛び込んだ。
バン!!
破裂音が響き渡り、レンの読み通り弾丸が盾に当たる。
「……!」
しかし、ここで想定外な事が起きた。
弾丸は盾を突き破り、レンのど真ん中を貫いた。
レンは被弾した衝撃でそのまま後ろに吹っ飛び、加州を巻き込んでしまう。
「レン!?」
レンは起き上がる事が出来ず、ぐったりするとボンっと音を立てて消えてしまう。
同時にこんのすけも消えてしまった。
「え…?」
加州は呆然としながら、何も無くなった自分の腕を見つめた。