第45章 突入
レンは分身を一体出すと先行させ、乗り込ませる。
「打て!!」
予想通り、初手で一斉に発砲された。原型を留めておけず、分身は消えてしまった。
銃は、僅かだが装填に時間がかかる。
レンはその隙を無駄にすることなく、2階の観覧席に乗り込むと、クナイを構えて忍組手で倒していく。
一人ひとりの装甲の隙間を正確に捉えた素早い攻撃に、取り押さえるどころか防御すらできない。
「この!!」
その内の一人がレンを狙い、近距離で銃を構えた。
レンはすかさず相手にしていた男の首を掴むと、立ち位置を反転させる。
「「…!!」」
銃を構えた方は情報が追いつかず、誤って引き金を引いてしまい、盾にされた者の背中に発砲してしまった。
「ぐっ…!」
盾にされた男は衝撃に耐えきれず、動けなくなってしまう。
それを後ろで銃を構えていた者達に、投げ飛ばした。
「至近距離で遠距離型の武器を使うからですよ。」
レンはそう言いながら、銃を構えたまま動転している男の頬に打撃を打ち込んだ。
男は何の防御も出来ず、仲間の元へ吹っ飛び気を失ってしまう。
「くそ!」
それでも武器を使わないわけにはいかない。
レンの身体能力を見れば、肉弾戦を挑んだ場合、誰も勝てないのは火を見るよりも明らかだ。
別の一人が銃を構えると、他の者も釣られて構え始める。
「喰らえ!」
レンを狙って発砲をするも悉く逃げられてしまい、全く捉えることが出来ない。
「ぐあぁぁ!」
そうこうしている内に手や腕に何かが刺さって、銃を持てなくなった。見るとボールペン程の大きさの、氷の暗器が刺さっている。
「畜生が!!」
急いで暗器を抜いて捨てると、すぐさま取り落とした武器を拾う。
武器を構えてレンに照準を合わせようとするも、手に力が入らずブレてしまう。
男は諦めて武器を下ろした。
その間、着々と戦闘不能者を作り、観覧席を網羅していた特殊部隊を崩していく。
レンに敵わないと悟った数人が1階で応戦している刀剣に発砲しようとするも、レンが感づいて未然に氷千本で防いでしまい、殆ど発砲することは叶わなかった。
ものの数十分で、戦闘員の殆どを戦闘不能にしてしまい、部隊としては最早機能できなくなってしまう。