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君に届くまで

第45章 突入



「がはっ…!いった…!」

ピュッっという音と共に乱が脇腹を押さえて蹲った。

レンは不動から手を離すと、急いで印を組む。

「水遁、水陣壁!」

レンが壁を作ったと同時に何発もの銃弾が彼等を襲うが、全て壁に阻まれた。
レンは急いで不動の元へ戻るも、遅かった。手が触れる手前で、不動は光の粒子になって消えてしまった。
レンは悔しそうに舌打ちをする。

「…すみません。貴重な証拠をダメにしてしまいました。」

「大丈夫。思ったより反撃が早かったね。」

レンの謝罪に加州は答えながら周囲を見渡した。
水陣壁で歪んで見えるものの、2階に多くの人間が配置されたらしい。黒い複数の影が蠢いている。

「そうですね。乱、大丈夫ですか?」

「大丈夫。脇腹に穴が開いたくらいなんてことない。」

乱は痛みに顔を顰めながらも、気丈に笑う。

「ここまでですかね。要求に対する確約が取れなかったのは悔しいですが。」

「でも政府の横っ面はぶん殴れたな。」

太鼓鐘の揶揄に、彼等は晴れやかに笑う。

「なら手筈通りに…」

燭台切が言いかけた時、爆発の様な破壊音が響き渡る。

「出てこい!侵入者共!!」

いきなりの怒鳴り声に彼等は顔を見合わせた。

「この声って、長谷部か?」

「政府の刀剣が来たの?」

「鴉もいるかな?」

「刀剣が来たなら、私を狙って一緒にいそうですけどね。」

薬研、大和守、乱、レンが思い思いに話し始める。

「鴉がいるなら、この水の壁解いた方がよくない?視界悪いし、いつ攻撃されるかわからないよ?」

「けど、レンちゃんの氷を蹴破った程の実力者相手に、盾が何もないのは心許ない気がしない?」

「だとしても、ここで立ち往生していても埒があかない。打って出る方が逃げ道も作りやすいだろう。」

加州、燭台切、鶴丸が策を練る。
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