第45章 突入
「私達は、とある本丸の刀剣です。先日、私達は無為に殺されそうになりました。その為、管狐を奪還し、理由を聞きました。」
レンの言葉に顔色を変える者は誰もいない。遮る者もいない。皆、静かにレンの次の言葉を待っている。
「邪魔だから、だそうです。ただそれだけの理由で焼き討ちに遭いました。
40人弱の内、生き残ったのは私達だけです。」
レンの説明を聞いた議員達の間に騒めきが起こる。
「何故、俺達が消されなければならない!?」
「俺達は人間の歴史を守る付喪神だ!こんな仕打ちを受ける謂れはない!」
「これがお前達人間の付喪神への礼儀なのか!」
レンの言葉に続き、薬研、加州、鶴丸が訴える。
「それだけじゃない!俺達は前の審神者に幾度となく殺し合いをさせられていた!これがその時に負った傷だ!」
大和守が片側の肩を抜いて腹にできた血の滲む生々しい傷を晒した。
間近で見た者の中には、傷を直視できず手で口を覆い顔を背ける者がちらほらいた。
「あなた方人間の私達に対する行動は、人の道を外れています。人間は本当に信用できるのでしょうか?守る価値があるのでしょうか?」
レンの問いかけに、手前にいた議員が再び怒り出した。
「何を訳の分からないことを!!」
「いい加減な事を言うんじゃない!」
その者に続いて、他の者達も怒りに任せて立ち上がる。
議員達も黙ってはいなかった。
「そんな出鱈目を誰が信じると言うんだ!!」
「殺し合いをさせるなんて、そんなこと公に認めた覚えはない!」
「いきなりここを占拠したかと思えば、被害妄想を語り出す始末。だいたい、そんな大事が起これば、騒ぎになるはずじゃないか!どうして何のニュースにもなっていないんだ!?」
「お前達刀剣を人間が蔑ろにしたと言うのなら証拠を見せてみろ!」
議員達の心ない言葉に、そうだ!そうだ!とあちらこちらで野次が飛び交う。
誰もレンや彼等の言葉に耳を傾けようという者はいなかった。