• テキストサイズ

君に届くまで

第44章 制圧


議会場の側まで来ると、中から怒号の飛び交う音が聞こえて来る。勿論、ドアの前には誰もいない。

「誰も気付いてないのかな。」

「そうみたいですね。」

レンは念の為、ドアに耳を近づけて会話を聞き取ろうと試みる。
1人が話しているのに対して、次々にヤジを飛ばしているように聞こえる。発言者の言っている事が全く聞こえない。まるでアカデミー生の集まりのような集会だ、とレンは思う。

「あれ、そういえばこんのすけは?」

燭台切は思い出して、きょろきょろと周囲を見回す。

「ここです。」

レンが答え、そちらを向くと、彼女の腕に抱えられて寝ているこんのすけがいた。

「…いつ寝たの?」

「…さぁ。気づいたら寝てました。」

レンは、燭台切を見る事なく答える。ドアの状態を調べると鍵はかかっていないようだ。
手前に引くと、簡単に開いた。

「入れそうですね。その前に一つ、私と約束してください。」

レンは彼等に向き直り、正面から見据える。

「”何があっても”、決して自分の命を諦めないでください。最後まで足掻き続けてください。」

「…ここまで来て何があるって言うんだよ?」

太鼓鐘が怪訝な顔でレンを見る。

「既に今、普段だったらあり得ない状況だよね。」

大和守が肩を竦めて困ったように笑う。

「とにかく約束です。いいですね。」

刀剣達は、レンに少し違和感を感じつつも神妙に頷く。
彼女はそれを見届けてから前に向き直った。

「では、行きます。」

いよいよ、突入だ。

/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp