第44章 制圧
「だが、こんなことをすればただじゃ済まねぇ。下手すりゃあ今死ぬことになるんだぞ!死に急ぐマネすんじゃねぇ!」
根はいい人なのだろう。レン達を思って必死で止めようとしているのが伝わる。
人間も捨てたもんじゃないかもな、と刀剣達は思う。
「忠告には感謝しますが…。その顔で言われても締まりがありませんね。」
レンは笑いを堪える為、そっと視線を外す。
「喧しい!ヒトが真剣に言ってるのを茶化すんじゃねぇ!」
そのやり取りに釣られて、ちらほら笑いが溢れる。
「すみません、ありがとうございます。けれど、私達はもう決めたんです。」
そう言ってレンは刀剣達を見る。
彼らの瞳に迷いは見て取れない。
「結果はどうあれ、私達は私達の今をこんな風にした政府に文句の一つでも言ってやるのだと。」
むざむざ死に行くつもりは毛頭ないが、と心の中で付け足しておいた。
「だな。このままじゃ俺達は死んでも死にきれない。」
「まぁ、死ぬつもりもないけど。」
「基本は逃げ切る方向だから。」
鶴丸、加州、大和守は晴れやかに笑って答える。
「と、いう訳ですので、皆さんにはここで大人しく捕まっていてもらいます。傷を付けたくはないので、変に暴れないでくださいね。」
レンは淡々と衛視達に忠告する。
逆らおうとする者は誰もいなかった。