第44章 制圧
レンは何処からか持ってきた箱に、衛視達から取り上げた銃を集めると、壁側に寄せて結界を張り、外側から見えなくしてしまう。
「さて、お巫山戯はこの位にしますか。これから本題に入りますよ。」
その言葉に刀剣達の顔付きが変わる。
「あんた達は、今から何をするつもりなんだ?」
斉藤と呼ばれた男が問い掛ける。
「現状を訴えたいんです。それには、ここが一番効果的だと聞きました。」
「訴える、って何を?」
「彼等は人間ではありません。刀剣男士です。
そして彼等の住まう本丸は、先日、理由も無く政府による焼き討ちに遭いました。そして今、その本丸は抹消申請が出されているそうです。それが受理されれば私達は問答無用で本丸ごと消され、死ぬことになるでしょう。」
レンは刀剣達を見ながら言った。その言葉に斎藤をはじめ、捕まった面々が息を呑む。
「あんたも刀剣なのか?」
「いいえ。私は人間ですが、縁あって彼等に手を貸すことになりました。私も本丸にいなければならない身なので。」
どんな身だ、とも思わなくはなかったが、ぼかされたところをみると言うつもりはないのだろう。
「彼等は人間ではありませんが、人の歴史を守る付喪神です。粗末に扱われていい存在ではありません。私達は、抹消申請の取り消しを要求しにきました。」
斉藤達は彼等の現状に止める言葉も無かった。
「訴える方向が間違ってるぞ!こんなことすれば国家反逆罪になるだけじゃねぇか!もっと他に方法があるだろ!」
ただ一人、レンの言葉に反発する者がいた。瀬戸だ。
「しかし、私達にはもう時間はありません。申請が受理されたら問答無用で死ぬんです。手順を踏んでいたら間に合いません。」
手順を踏むつもりはハナからなかったが。
レンはそっと心の中で呟く。