第44章 制圧
「捕まえてきたぞ。」
鶴丸が、衛視の一人を引きずりながらレンの元へ行くと、彼女は何やら捕まえた男の一人と口論をしていた。
男とは言わずもがな。瀬戸だ。
「何で氷の枷なんだよ!凍傷になったらどうしてくれんだよ!」
「じゃあ、自由になったら病院行けばいいじゃないですか。」
「なら今すぐ解放しろ!」
「嫌ですよ。何でそんな理不尽な要求を聞かなきゃならないんですか。」
「理不尽なのはお前だ!」
「そうですか。」
「終わりかよ。ってそうじゃねぇよ!解放しろっつってんだよ!」
捕まえた者を入り口付近に一箇所にまとめて、レンが氷の枷で手足の自由を奪う算段だ。
それが気に入らない者がレンに食ってかかっているのだろう。まぁ、縛られて喜ぶ奴はいないだろうが。
だが普通は立場を考えたら、あんなに言いたい放題言えるものでもない。
証拠に、集められた他の者達は、遠巻きに2人を見ている。
「捕虜のくせにうるさいですね。そんなに言うなら一対一の戦闘で私に勝ったら解放してあげますよ。」
「よし!乗った!」
瀬戸が同意したのを聞くと、レンは瀬戸の手枷を外した。
「待て待て!キミ本気か?」
様子を見ていた鶴丸が慌てて止めに入るが、レンに目で制される。
「その代わり、素手の勝負です。」
「ハンデをつけろ!そっちは変な妖術使うじゃねぇか!」
「じゃ、この話は無かったことに…」
「わかった!わかった。素手でいい。ハンデも無しだ。」
瀬戸が若干下手に出た所で足枷も外す。レンはクナイホルダーを外し、鶴丸に預けた。