第44章 制圧
「なっ…!?」
無害だと思っていた女が不思議な妖術を使うのを目の当たりにし、2人は絶句する。
と、思いきや、
「これ氷かよ!?どおりで冷たい訳だぜ。」
「今更かよ。」
レンは呆れて思わず突っ込んだ。
「うるせぇ。おい、妖術使い!悪いことは言わねぇから、これ外してとっとと帰れ!」
度胸があるのか、はたまた単なるおバカなのか、食ってかかる瀬戸を警戒して、江雪は刀を構える。
「主…。どういたしましょう。」
「放っておきましょう。構わず次へ行って大丈夫です。」
レンは、さも面倒だと言わんばかりに瀬戸から視線を外し、江雪を促した。
「しかし、何かあってからでは…。」
「大丈夫です。何も起きませんから。」
「何でそんな事言えるんだよ。起こしてやるから今すぐこれ外せ!冷たくて痛いんだよ!」
「大丈夫ですよ。それだけ元気なら問題ありません。」
レンは面倒そうにそう返した。
後ろ髪引かれるように、江雪は振り返りながらまた戻っていった。