第44章 制圧
朝日が登り、本丸は陽の光に包まれる。
朝靄は、いつの間にか消え去っていた。
「では、皆様。準備はよろしいですか?」
こんのすけの掛け声に、彼等はにっこり笑う。
「準備OKだよ。」
「いつでも大丈夫。」
燭台切と大和守の受け答えに倣うように、皆が頷く。
「では、お願い致します。」
こんのすけはレンに向き、頭を下げる。
「じゃ、いきますよ。」
レンは影分身を3体出すと、四隅の水晶に配置させ、チャクラを流す。
レンは正式な審神者ではない為、転移装置は通れない。従って、簡易転移装置でしか現代へ行くことができないのだと言う。
「レンちゃん、くれぐれも気をつけてね。」
「燭台切の方こそ気をつけてよ?そっちの方が目立つでしょ?それに俺がいるからレンも勝手は出来ないよ。」
燭台切の心配に、加州が苦笑して返した。レンは加州の返しが気に入らずムッとする。
「私は子どもではありませんが。」
「子どもじゃないが、相談無しの突発行動が多いんだよ。」
薬研が笑いながら言い、レンは益々ムッとする。
「まぁまぁ、いいじゃない。愛されてるってことで。」
その様子を見た加州が笑いながらレンの頭を撫でた。
「では、飛びます。」
こんのすけの掛け声と共に、方陣に待機していた彼等は全て光に包まれ、1人残らずその場から消えた。
「確かに、凄い消費されますね。」
「…っていうか、6人どころか全員現代へ行けたんだね。あとどれ位神気残ってる?」
加州は唖然としながら転移装置を見つめていた。
初代でも13人もの刀剣を移転させるのは出来なかったのではないだろうか。神気の内包量だけで言えば、初代以上だろう。