第43章 束の間の休息
「あとは、鴉に刀剣が時間遡行軍に変えられたと訴えたっていいし。」
レンが例えを出すと、彼等の中にそういえばあれも、と切り札を思いつく者がちらほら出てきた。
「そう考えると、この本丸、切り札だらけかもね。」
加州が呆れた様子で、今までを振り返る。
二代目、三代目のやってきた、あれやこれやはどれも全て人の道に反すると言えよう。
「そういうことです。それに金品を出せ、と要求しているのではなく、不当な申請を取り消せ、と要求するのですから。その要求自体、政府にとっては外聞が悪い筈です。
よって、奴等は私達の要求を飲まざるを得ないでしょう。」
レンは淡々と言う。
「…レンって、何でそんなに展開が読めるの?」
大和守は、恐々問う。
レンの言葉は理路整然としていて、結果がよく見えている。
やってみよう、の行動ではなく、わかっていて敢えて事を起こす、というのがかえって恐ろしい。
ーこの人は一体どこまで見えているのだろうか…。
大和守の言葉にレンはキョトンとした後、にこりと無機質な笑顔を浮かべる。
「…企業秘密、とでも言っておきましょうか。」
底が知れない彼女を見て、彼等はレンが敵じゃなくて良かったと、つくづく思うのだった。