第43章 束の間の休息
「政府の根幹を揺るがしかねない情報を、はたして捨て置けるでしょうか?」
「そういうことか。確かにそれは無視できないね。」
レンの問い掛けに、燭台切は納得する。
「そうなると、江雪さんの言うように問答無用で皆殺しにされるかも。」
大和守が声を抑えて呟く。
「そうはならないと思いますよ。」
「どうして?」
「彼等の戦闘力が低いからです。」
レンはあっけらかんと答え、それを聞いた面々は唖然とする。
人間、と言ったって戦闘になれば数も武器も政府の方が上である。それなりに脅威になるのではないだろうか。
「武器は確かに凄いですが、当たらなければ意味無いです。遅いんですよ、動きが。
よって皆殺しにすることは不可能です。絶対に一悶着起きますよ。」
「動きが遅いって…。」
薬研は呆れ返り、彼等も微妙な顔をする。
「…まぁ、鶴さんに頭突き出来るくらいだしね。僕等の中で一番強いのって鶴さんだもんね。」
「レンの身体能力が脅威的なのは認める。」
燭台切と加州が苦笑いを浮かべ、鶴丸は悔し気にそっぽを向いた。
「それに、私をはじめ本丸ごと消そうとしている政府を見て、聞いて、人の目にはどう映るでしょうね?
少なくても、理解ある人は私達をただの暴徒とは思わないと思いますよ。
そこはみなさんの訴える力の見せ所とも言えますが。」
「わぁ、なんか一気に緊張してきた。」
「どうしよう。上手く言えるかな。」
乱と五虎退が手を取り合って互いを慰める。
「大和さんの傷を見せたっていいと思いますが。まだ残ってますよね?」
「あ、そうか。その手があった。」
大和守が自身の腹に手を当てて傷を確かめる。