第43章 束の間の休息
「なら、こちらから現代へ行く場合、政府はそれを感知出来ないということですか?」
「調べられなければ、使ったことは感知出来ないでしょう。ましてや、行き先を知られることはありません。」
レンは成程、と考える。
「こちらから現代へはどうやって行くんですか?
また木札か何かあるのですか?」
「わたくしが先導致しますれば可能ですが…。
五稜郭に来ることが出来たということは、簡易転移装置をお持ちなのではないですか?」
こんなのすけは不思議に思い、首を傾げる。
何故、態々危険の高い転移装置を使うのか。
「持っていますが、渡れる人数が少ないので。
大騒動を起こそうっていうのに、2人だけなのはあまりに心許ないです。」
「左様でございますか。転移装置ならば人数制限は御座いませんので、6人程度まで可能かと。
しかし、問題が御座います。」
そう言ってこんのすけは居住まいを正す。
「わたくしは確かに現代へ先導することが出来ますが、本丸へ戻るには現代にある転移装置が必要になるのです。
そして現代の転移装置があるのは五稜郭のみ。
つまり、行ったきり戻っては来れません。」
「片道切符ってことか…。」
薬研の呟きに彼等は一様に難しい顔をして黙り込む。
「…帰って来れる保証がないので、残りたい人は残った方がいいです。」
どうしますか?とレンは彼等に問いかけるも、彼等は誰一人として引くことはなかった。