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君に届くまで

第43章 束の間の休息


「確認したいのですが。」

周りの沈んだ空気もどこ吹く風でレンは切り出す。
鶴丸は何となくイラッとして、つかつかとレンに近づくと、その頭を小突いた。

「いてっ。何するんですか。」

レンが不満げに顔を顰めると、鶴丸も同じく顔を顰める。

「キミは空気が読めないのか?」

レンは周りを見渡し、はて、と首を傾げる。

「話に区切りがついたと思ったんですが…。まだ終わってませんでした?」

「そういうことじゃない!ここは少し間を置く所だろ!」

鶴丸はこんのすけの話の胸糞悪さも手伝って、八つ当たり気味に怒鳴り散らす。

「そうですか。じゃあ待ってます。」

が、レンは意に介さずあっさり肯定し、空気に徹する構えを見せた。
それを見た鶴丸は、これ見よがしに頭を抱えてしまう。

「そういうことでもないんだけどな…。」

大和守が苦笑いでぽつりと呟き、彼等は密かに同意した。
小さく、あちらこちらでため息が零れる。
レンを見ていると、しんみり落ち込んでいるのが馬鹿らしく思えてくる。

「いいよ、話続けて。で、何?」

見かねた加州が困った様に笑いながら、レンに先を促す。しかし、それを聞いたレンは上目遣いに鶴丸を見上げた。

「…続けてくれ。」

鶴丸はレンをちらりと見ると、手で続ける様合図を出した。

「遠征で使っていた転移装置について確認したいのですが。政府が来た時に、あれを使ってましたよね?ってことは、あれを使うと政府には筒抜けになるのですか?」

本当に話を進めたよ、と鶴丸は内心ぼやく。

「筒抜け、という程、何もかもがわかる訳ではありません。使われた痕跡がわかる、という曖昧なもので、行き先や使用頻度迄はわからないでしょう。」

こんのすけは、鶴丸とレンを交互に見ながら遠慮がちに答えた。
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