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君に届くまで

第43章 束の間の休息


「…そう、ですね。管狐と本丸は繋がっています。ただ、本丸が壊されても、焼かれても、わたくしには影響はありません。
…しかし、わたくしに大事があった場合、この本丸は消滅する恐れがあります。」

それを聞いた刀剣達は、一斉に立ち上がる。
が、誰一人言葉は出なかった。
それを見たこんのすけは、悲しそうに目を伏せる。

彼等の胸の中で逆巻くあらゆる感情は、吐き出せばきっとこんのすけを責め立てるものになってしまうだろう。
こんのすけにも、どうしようも出来ないこととわかるからこそ、悔しい、憤ろしい感情は言葉に出来なかった。

最初から最後まで政府の手の内であることには、絶望を否めない。

「あなたがここにいることは、政府にとって命令違反にあたりますか?」

「…おそらくは。その前にも、わたくしは政府に無断であなた様をこの本丸へ招き入れました。これも立派な命令違反に当たります。」

そう言って自嘲の笑みを浮かべる。

「わたくしは御役御免でしょうね。決定が下れば消滅するでしょう。」

「何故?」

「そういう申請を役人が出しているからです。本丸の”抹消申請書”と” 新規建設申請書”。つまり、わたくしは処分され、この本丸を抹消して新しい管狐を配置すれば、ゼロから本丸を建て直すことが出来るのです。」

「成程。それでここを焼き討ちすることに抵抗がなかった訳ですか。」

こんのすけは、びくびくとしながらそれに黙って頷く。
あくまで淡々と話を進めるレンは、こんのすけには不気味に映る。
いつ爆発するのかわからない火山の麓にいる様な気分だ。
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