第43章 束の間の休息
「「「3階から飛び降りた!!!!??」」」
突然の叫び声にも似た大声で、レンは慌てて飛び起きる。
その拍子にこんのすけが、ころんと転がり落ちた。
「やっぱ驚くことだよね?レンがあまりに平然としてるもんだから、俺がおかしいのか?って気になっちゃって。」
加州は疲れたように息を吐いた。
「加州には同情するよ。俺も似たような目にあったからな。」
薬研が言うと、彼等は驚いて薬研を見る。
「尤も、俺の時は、精々がこの広間よりは少し上くらいの高さの木だったがな。」
彼は苦笑しながら肩を竦める。
「広間の高さでも怖いが、それが3階とはな…。」
「途中、大きな木を中継に使ってたから、直接地面へ真っ逆さまって訳じゃないけどね。」
鶴丸の言葉に加州が答えた。
「…清光には悪いけど、僕行かなくて良かった。」
大和守は心の底から安堵する。
「ひどいね、お前。」
加州は呆れたように横目で見やると、大和守は、手を合わせて苦笑いした。
「レンの影分身が囮になって警備員を引きつけてくれたみたいで、入り口から避難する人に紛れて出てきたんだよね。」
「入り口から出たのか?よくバレなかったな。」
薬研は呆れながら加州を見た。
「ほんと、はらはらした。いつバレるんじゃないかって気が気じゃなかったよ。
すごいウワサになっててね。殺人犯だ、とか。凶悪犯だ、とか。それはそれで、気が気じゃなかったけど。
けど、そのお陰ですんなり出られたんだよ。」