第43章 束の間の休息
レンは一人輪を外れて広間に上がり、自分の毛布を取ろうとして手を止める。こんのすけが寝かされていたからだ。
レンはやれやれと思いつつ、こんのすけごと毛布を抱えると部屋の隅に歩いていく。
側にこんのすけを下ろすと、被せてあるタオルを捲り、ティーポットと自分の湯呑みを用意した。茶筒から紅茶の茶葉を取り出してティーポットに入れ、ポンプ式のポットから湯を注いで暫し待つ。
今日は陽射しが穏やかで暖かい。
日向ぼっこには丁度いい。
レンはこんのすけを抱き上げると、毛布を膝にかけてその上にこんのすけをそっと下ろした。
そして、全く目を覚さないこんのすけの体を好きに撫でる。
「ふわふわ…。」
レンは気分良く、ティーポットの蓋を開けて中を覗く。
すると、綺麗な紅色が揺蕩っており、ふんわりと立ち上がる湯気がいい香りだ。
飲み頃と判断し湯呑みに注ぐと、ふぅふぅと冷ましながら、こくりこくりと飲み干していく。
思っていたよりも疲れたかもしれない、とレンは思う。慣れない服に慣れない土地。知らない術に知らない武器。対処できたのは、まぁ、運が良かったこともあるだろう。
レンは、つらつらと考えながらもう一杯注ぎ足す。
陽射しがぽかぽか暖かく、穏やかな眠気を誘う。
レンは、また紅茶を飲み干すと、一つ欠伸をし、ごろんと横になった。