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君に届くまで

第42章 囮


レンは辺りを見回すと、影分身の記憶を思い出し、目印を探す。
この五稜郭は、五点の星形で、その五点ヶ所には塔が建っている。門のすぐ近くには左右に一棟ずつあり、最奥には塀に対して中央に一棟ある。

塔の配置から門の位置を把握すると、屋根の上をすいすいと走り出す。

「どこに向かってるの?」

「門ですよ。外に出なきゃ。」

「こっちで合ってるの?」

「影分身からの情報だと、こちらで合っている筈です。」

加州はふと疑問に思う。

「何で塀から出ないの?」

壁を登れるレンなら、塀を登ればすぐに外へ出られるのに、と。

「塀には結界が張られているようですよ。さっき影分身が試して、弾かれたみたいですから。」

「そういうことか…。」

加州は塀を見る。
何の為の”塀”なんだか…。
外じゃなく内に”魔”がいるじゃないか、と。
加州は、腕の中のこんのすけを見て、眉を顰めた。
邪気に障ったせいか衰弱が激しく”気”が弱々しい。


ここはまるで”魔”を守る伏魔殿だ。




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