第42章 囮
「成程。かなり頑丈に出来ていますね。」
レンはガラスに手を当て、考えを巡らす。
陽の光に照らされて、ほんの少しだけ温かい。
ー温度差でどうにか突破出来るかな。
レンは多めにチャクラを練ると、氷遁の基礎の印を組む。そして、穴が空いた箇所に手を当てると一気にチャクラを放出し、ガラス一枚を一瞬で凍らせる。
凍ったガラスは、ギシギシピシピシと嫌な音を立てており、曇って外が見えない。表面には霜柱がぎっしり生えている。
レンは、大きく数回深呼吸をすると息を整え集中する。そして静かに構えると、周囲の”流れ”を読む。
「蛙組手!!」
レンが突き出した手から衝撃が波紋状に広がると、バリン!!というけたたましい音を上げて、ガラスは外側に飛び散り、充満していた霧が外に逃げていく。
「さて、行きましょうか。あれ…?」
レンが加州を振り返ると、彼は白目を剥き、今にも倒れそうになっていた。
「あらら…。加州さん?行きますよ。」
レンは、加州を驚かさないようにそっと彼を突いて呼び戻す。
加州は呆然とレンを見下ろすと、ぼそりと問いかけた。
「レン、いつもこんなことやってたの?」
「まぁ…、そこそこは。アジト壊滅の任務も割と請け負っていましたし。これはまだ易しい方だと思いますよ。」
それを聞いて、加州は少し泣きたくなった。
ートンデモナイ人を主に迎えたものだ。
レンは、そんな加州の様子を見て、少し肩を竦めた。