第41章 こんのすけの奪還
その後も、途中途中でバリケードを張るが、悉く突破される。
ガードが甘い所を狙い、時に壁を使い、警棒での攻撃もするりと躱し、攻撃を返される。
本当に人間なのかと疑いたくなる程、捕まえることが出来ない。女から離れずついていく男も、只者とは思えない動きだ。
警備員達に動揺と苛立ちが広がっていく。
「不味いですね。このままだと逃げられますよ。」
「わかっている!奴等の行き先は出入り口だ。出入り口に回せるだけ警備を回せ!袋の鼠にしてやるんだ!」
「わかりました!応援要請します!」
「何だと!?」
前田はオフィスで、警備からの連絡を受けて愕然とする。
侵入者が入ったとされる部屋には、こんのすけを拘束していた。
ー何故だ。どうやって入った?
あの部屋には不可侵の呪をかけておいたんだから、誰も中へ入れない筈だ。
「すぐに部屋を調べろ!」
今となっては、人を置かなかったことを悔やまれるばかりだ。
奥の隠し部屋に侵入されていないことを願う。
「カメラの映像を出せ!侵入者を確認する!」
ー誰だ。誰が入った?
「ありました!映像出します!」
部屋が暗くされ、スクリーンに映像が映し出される。
女と男が1人ずつ。男の方は見覚えがある。
ーもしかすると…。
「これ…、加州清光じゃないですか…!?」
「お前にもそう見えるか…。」
「はい。ということは審神者の仕業ですか!?」
「まだわからん。女の方は見覚えがない。」
だが、奴の報告にあった特徴と似ている。
黒く長い髪に、平均より白い肌。
恐らく、目的はこんのすけだろう。
となれば、警備員では何人いても意味を成さない。
「鴉を呼べ。」
「鴉、ですか?でも奴は…」
「離れから引っ張り出してこい。」
歯が立つのは恐らく奴だけだろう。
何としてもこんのすけを取り返さねば。
「聞こえなかったのか?鴉を呼べ。例の女が現れた、と言えば喜んで出てくるだろう。急げ!」