第41章 こんのすけの奪還
レン達は、急いで階段を駆け上がる。
隠し扉を出た瞬間、部屋の入り口から男が2人駆け込んできた。服装からして警備員だろう。
「お前等!ここで何をしている!」
影分身はそれには答えず、先程刺し貫いた”それ”を1人に投げつけると、もう1人の懐に素早く入り、下方から掌底を食らわした。
「熱い!熱い!助けてくれ!」
“それ”を投げつけられた者は、のたうち回った後、よろよろと逃げていき、もう1人は気絶する。
「何だ!何の騒ぎだ!」
更に数人が部屋に駆け込んできた。
レンはすかさず印を組む。
「水遁、霧隠れの術。」
ぶわりと溢れ出した霧が部屋中に充満し、忽ち全てを覆い隠す。
「くそ!どうなっているんだ!」
男達は悪態をつきながら手探りで一歩を踏み出すと、その内の1人の目の前に見知らぬ女が現れた。
「がはっ!」
女に体当たりされた男は、堪らず倒れ込んだ。
女はそのまま部屋のドアの向こうに消えていく。女に続いてもう1人も逃げていく。
「逃げたぞ!」
体当たりされた男が叫び、他の男達が反応する。
「追え!!」
警備員達は、侵入者を捕らえるべく走り出す。
女達は、階段を駆け上がり2階フロアを人混みを気にすることなく、隙間を縫う様に逃げていく。
「至急応援を要請!!現在、侵入者は2階中央付近を逃走中!出入り口に向かっている模様!」
男は女達を追いながらも、無線で応援要請をかける。
「素早い奴等ですね。」
「さっきの部屋で捕まえられなかったのは痛恨のミスだったな。」
リーダー格の男が顔を顰める。
「しかし、目眩しを使われたらどうにも出来ないでしょう?」
「それでも、あそこで死守出来ればこんな大事にはならなかったんだよ。」
部下の言にリーダー格の男は舌打ちする。
今まで、侵入者を逃したことなど一度も無かっただけに、焦りと苛立ちが募っていく。
「とにかく、絶対に外へ逃すな!死ぬ気でかかれよ!」
リーダー格の男の喝に、部下達は”応”と返答した。