第41章 こんのすけの奪還
「だあぁぁ、痛かったぁ。」
レンは詰めていた息を吐き出すと、両手の氷を解き、膝に手を当てた。
加州は持っていたライターに火を灯し、辺りを照らす。
「おつかれ、レン。」
加州がレンに声をかけると、彼女は黙って頷く。
レンの横を通り過ぎ、こんのすけに近づくと、体にそっと手を乗せる。今度は弾かれることなく触れることが出来た。
「こんのすけ…?」
呼びかけるも返事は返ってこなかった。
規則正しく上下に揺れる体は、とても温かい。
加州はこんのすけをそっと抱き上げる。
「…さて。目的を果たしたことだし、逃げますか。」
「よし、行こう!」
「その前に…。」
レンは自分のカバンから中身を出すと、加州のショルダーバックに仕舞い込む。
「すみませんが、荷物は加州さんが持ってください。」
「…何で?」
加州は怪訝そうにレンを見やる。
「両手が塞がっていると戦闘に支障が出るからです。」
「戦うつもりなの!?誰と!?」
「そうなる可能性があるってことです。さて、準備万端ですね。このまま突っ切りますよ。」
「え!待って!どういうこと!?」
「無理やり術を破ったので、今頃警報くらいは鳴ってると思うんですが…。」
その時、上の方から僅かに足音が聞こえてきた。
「噂をすれば何とやら、ですね。」
「…暢気だね。」
レンは平然とし、加州はげんなりとする。