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君に届くまで

第41章 こんのすけの奪還


レンはざっと部屋を見回す。
部屋の中は、丸テーブルが置かれている他は何も無く、がらんとしている。薄暗くてよく見えない。

こんのすけが横たわっている所には、方陣が描かれていて、その方陣は淡く光っていた。これが無ければ、更に真っ暗だったことだろう。
触れようとすると、その前に結界に阻まれて、電撃の様な感触が手に走る。これが檻の代わりになっているのだろう。
ただ、衰弱しているのが気になるところだ。見たところ、外傷は無い様に見える。

部屋に邪気が満ちているのも気になるところだ。どうにも丸テーブルを中心に嫌な空気が漂っている。

レンは手を付けやすそうな方から片付けようと、丸テーブルに近付いていく。
近づくごとに、テーブルの上に何かが乗っているように見えるが…。

あと少しで手が届く、という所で、”シャー!!”と言う動物の威嚇音が聞こえ、慌てて手を引っ込めた。

「加州さん、ライトか何か持ってませんか?」

「あ、途中でライター拾ったよ。」

加州は、はい、と言いながらレンに渡す。
レンは、受け取ったライターの着火レバーを押して火を灯す。そのままライターを持ち上げてテーブルを照らした。
すると、黒い蛇ともヤモリとも言えない何かが塒を巻いていた。”それ”は、こちらを睨みつけて牙を剥く。

「蛇、なんでしょうか?」

「顔はヤモリに似てない?足生えてるし。」

「けど、ヤモリは塒を巻ける程、胴体長くないですよね。」

「蛇だったら、足生えてないよね。」

加州とレンは気味悪そうに互いを見た。

「…何なんでしょう?この生き物。」

「…わかんない。俺も初めて見る。」

蛇ともヤモリとも言えない何かは、相変わらず牙を剥いて、蛇が威嚇をする様に、頭を擡げて”シャー!!”と唸り声を上げる。
威嚇をする度に黒い靄が溢れ出す。
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