第40章 再び現代へ
加州は、何か取っ掛かりがほしくて、やや焦る。必死で初代の節子との日々を思い出してみるも、術に関する事は殆ど思い当たることは無かった。
レンも自身の持つ封印術を思い出し、取っ掛かりを見つけようとしてみるも、触っても叩いても何の反応も示さない。これではどうにもならなかった。
それにしても霜がよく付きそうな土壁だとレンは思う。
試しにチャクラを練り、そっと指先で撫でてみる。
すると小さくパキパキ、という音がして一本線上に霜柱が咲く。
レンは気を良くすると、今度は手の平でそっと広範囲を撫でてみる。
先程よりも大きな音で、撫でた範囲に一斉に霜柱が咲いた。
「…何してるの?」
加州は不思議そうにレンの行動を眺める。
「あー…、霜がよく付きそうだな、と…。」
「つまり、遊んでた、と?」
加州は呆れを含んだ視線を向ける。
「何か反応があったらいいなぁ、なんて…。」
レンは、すっと視線を逸らしながらそっと答えると、加州は小さくため息をついた。
「レン、真面目にやろうよ。」
「…面目ない。」
レンは自分が咲かせた霜に触れて解術する。
すると不思議なことに、一部色が変わっていた。何か線のようなものがある。
「これって…。」
「今度は全体にやってみましょうか。」
言うが早いか、レンは印を組む。
「氷遁、氷華縛。」
レンが壁に手を当てると、氷が一気に広がり壁を覆う。そして解術すると、そこには何かの術式が出てきた。