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君に届くまで

第40章 再び現代へ


一歩足を踏み入れると、気配が濃くなった。
ここで加州が漸く異常を感じ取る。

「ほんとだ…。何か嫌な気配がする。」

加州とレンは足音を忍ばせて、一本道を慎重に降りていく。
階段の一番下まで降りてはみたものの、行き止まりになっており、それ以上先へは進めなかった。

「どうなってるの…?」

加州は眉を顰めて壁を見る。

「気配はこの奥から漂っていますし、ここで行き止まりはあまりに不自然ですね。」

レンは壁に手を当ててみるも、特に変化は感じられない。

「幻術の類でしょうか?それにしては実態があるのが引っかかりますね。」

「げんじゅつ?幻のこと?」

加州は不思議そうに尋ねる。

「はい。相手の精神に働きかけ、幻を見させて動きを封じる術です。」

「でも、それって術をかける人とかけられる人がその場にいなければならないんじゃないの?」

「そうでもありません。ここを訪れた者を自動的に術に落とすよう、罠を張れば可能です。」

「え!それって、今正に俺達罠に嵌ったってこと!?」

加州は驚いてレンに尋ねるが、彼女は静かに首を横に振る。

「あくまで、可能性の話です。それに罠を張ったとしたら、見張りがいる筈です。張っておいて、誰も出てこないのはまず無いでしょう。」

「それもそうか。罠だけ張って放置は、確かに無いわ。…じゃ、どうする?」

加州は突破方法を考えてみるも、これといって思い浮かばず、レンを見る。

「どうしましょうね?私もこれといって思い当たることがありません。」

レンもお手上げとばかりに加州を見て、2人は同時にため息をつく。
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