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君に届くまで

第40章 再び現代へ


「また微妙な質問しますね。」

レンは少し顔を顰めた。
その様子を見た加州は少し慌てて言い直す。

「ごめん、答えづらいこと聞いて。今の無し。忘れて。」

レンは加州の慌てた様子を横目でチラリと見て、小さくため息を零す。

「そういうことじゃないですよ。後悔するとかしないとか、そう単純なことではないので、答えに困るんですよ。
そりゃ恨んでますよ。組織の頭を。こんな目に遭わせやがって、って。
けど、そこで得たものもありました。忍術や体術なんかがそうですね。
同時に、失ったものもあります。リヨクや故郷です。
でも、リヨクは得たものでもあるんです。
私が”根”に連れていかれることがなければ、会うことはなかった。
私が氷室の里で穏やかに暮らしていたら、木の葉の里に行くことは一生なかった。
…上手く言えませんが、これをしたから、しなかったらと、どちらかの選択をするのは私には困難なんですよ。」

「…そっか。」

「そういう意味で言えば、殺されかけなければ、あなた達に会うこともありませんでした。」

「そう言えば。」

「ね?殺されるのがいいか、と聞かれたら嫌ですよ。でもいつもの日常を選択して、あなた方に会わない方がいいか、と聞かれたら私は答えに詰まります。」

「そこは会えて嬉しいくらい言ってよ。」

加州は笑いながら突っ込みを入れる。

「まぁ、そういうことです。次はここですね。」

レンは同じように千本で鍵を開けていった。
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