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君に届くまで

第40章 再び現代へ


レンは暫し、考え込んだ。

「ちょっと試していいですか?」

「どうするの?」

「私が先に通って、階段の先で影分身を出して通行証を持たせます。加州さんはそれで通ってください。」

「わかった。」

加州はレンに通行証を渡し、彼女は黙って受け取ると、改札口へ向かう。

レンが通行証を翳すと、ピッという音がして何事もなくすんなり通る。
人の流れに乗って、エスカレーターに乗った。
階段なのに動くのは妙な感覚だ。
微細な振動も心地悪い。
1番上までたどり着くと、人の流れは枝分かれする。

エスカレーターを降りて正面には、エレベーター8台設置されていて、順番の列が出来ていた。
左右の通路はそれぞれ2本あり、その先は事務所になっている様だ。

レンは右側の通路に入り、一番最初の角で曲がり止まる。

「水遁、水泡幻華。」

印を素早く組んでぼそりと唱える。
すると、立ち止まったレンを振り返る者もいたのが、誰も気に留めなくなった。

「氷遁、封魔鏡。」

次いで、自身の周りに周りから見えなくなる結界を張る。
それから、十字の印を組む。

「影分身の術。」

レンがもう1人現れた。

レンは影分身に通行証を渡し、影分身が頷く。
結界を出て、来た道を戻って行った。
時間を置いて結界を解くと、レンも来た道を戻り、バルコニーの前で待つ。
手摺りに寄りかかり、下を見ると、加州が改札口に現れた。
上手くいくだろうか。

問題なく通れたようだ。
そのまま人の流れに沿って、エスカレーターに乗る。

「お待たせ。すんなり通れたよ。」

「よかったです。」

「レンの分身、どうなったの?」

「たぶん、外に偵察に行っていると思います。」

「何で外?」

「常に帰り道を気にしてなければ、退路が絶たれた時困りますから。」

抜け目がない、と加州は感心する。
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