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君に届くまで

第40章 再び現代へ


「取り敢えず、他の道がないか探してみましょう。」

レンはそう言って踵を返し、奥側に進み始めた。

進んでいくと、休憩スペースがありレストランがある。
その向こうは全面ガラス張りになっていて、中庭がよく見える。自動ドアが設置されていて、外にも出られる様だ。中庭を挟んだ向こう側にも建物が見える。
ガラス張りスペースを横切り更に歩いて行くと、コンビニがあり、大きなトイレスペースがある。
そこを横切ると、改札口と回転ドアが見えてきた。どうやら一周したらしい。

「通行証を通す所しか、入り口は無いみたいですね。」

「みたいだね…。」

加州は、参ったと言うように前髪をぐしゃりと握る。
レンは、改札口を眺めながら、ふと疑問に思う。

「通行証が無いとどうなるんでしょうか?」

「どうなるって?」

加州は不思議そうに尋ね返した。

「警報音がなったりするんですか?」

「う〜ん、見たことないや。」

レンも加州も首を捻る。

暫く改札口を見ていると、ビビー、という音がロビーに響いて、男性が手前の改札口を通ろうとして引っ掛かっていた。

成程。入り口が塞がり通れなくなる様だ。

男性はしきりに首を傾げて、通行証を表に裏にひっくり返して見たり、もう一度翳したりしているが、何度やっても通れない様だ。
すると、レン達の後ろ側のドアが開き、中から若い男性が現れる。
歩き方がしっかりしていて、武道を嗜んでいる様に感じる。
服装は門の前の守衛と似ていた。
警備員だろうか?

「どうされました?」

「通行証が通らなくて…。」

男性は通行証を手渡した。
警備員らしき男性は通行証を手に取り、表に裏にひっくり返す。

「…あ〜、少し折れてますね。最近、これを折り曲げたりしましたか?」

「そういえば、少し前に洗濯機で一緒に洗っちゃって。ここ2、3日は使えてたから大丈夫だと思ったんですが…。」

バツが悪そうに後ろ頭を摩る。

「こちらへどうぞ。サブカードを出しますので。」

「お願いします。」

2人はそのまま、警備員が出てきたドアの向こうへと消えていく。
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