第38章 現代から帰還
「清光、清光…!」
加州はゆさゆさと自分の体が揺れる感覚で目を覚ます。
「ん、んん…?」
「レンは…!?」
大和守は焦りながら清光に問いただす。
レンが寝ていた場所には本人がおらず、加州だけがいるのだ。
加州は大和守の様子に動じる様子はなく、起き上がり軽く体を伸ばすと、大きく欠伸をした。
「体動かしてくるって言ってたよ。今何時?」
「もう少しで日の出だよ。いつ出たの?」
何ですんなり出したんだ、と少しの非難を込めて更に問う。
「そう経ってないよ。空が少し明るかったから。」
その時、廊下に足音が聞こえ、レンが現れる。
「おはようございます。早いですね。」
「出て行ったのかと思った。」
「…さすが兄弟ですね。」
大和守は心配そうに言い募り、それを聞いたレンは少し微笑む。
「どういうこと?」
「さっき加州さんも同じこと言ってたので。」
大和守は加州を見る。加州は照れ臭そうに頬を掻いた。
「今のまま放り出して行こうとは思いませんよ。」
「そっか。」
大和守はほっと胸を撫で下ろした。
「さて、今日こそ奪還決行です。」