第38章 現代から帰還
俺は、レンの足元に彼女の毛布を掛けると、自分の毛布を深く被った。
そして、レンを後ろから抱き込むと、そのままぐるぐると包み込む。
「風邪ひくよ。」
一体いつから起きていたのだろう。
体が水を浴びた様に冷たい。
華奢な体だと思う。
この小さな体のどこにあんな力が詰まっているんだろう。
俺はぼんやりしながらレンの戦闘時の姿を思い出す。
強かったな…。
まともにやり合ったら、まず勝てないだろうな…。
暫くして体がだいぶ温まってきた頃、
「あったかい…。」
レンがぽつりと呟いた。
声が眠そうだ。
「眠れそうならもう少し寝た方がいいよ。」
俺の言葉に、レンはこくりと頷く。
やがて、すぅすぅと規則正しい音が聞こえきた。
俺は少しほっとしながらレンの寝息に耳を傾ける。
辺りが薄ら明るくなり始めた頃、意識が浮上する。
いつの間にか寝ていたらしい。
目を開けてみると横になって寝ており、毛布もしっかりかけられている。
飛び起きてレンを探すと、すぐ側にいて、身支度を終えたところだった。
「おはようございます。」
「…出て行ったかと思った。」
俺はどきどきと早鐘を打つ心臓の辺りを鷲掴む。
焦った…。
「このまま放り出して行こうとは思いません。」
レンのその言葉にほっと息をつく。
「…よく、眠れた?」
「はい。お陰様で。」
レンは穏やかに微笑んだ。
うん、大丈夫そうだ。
「そう…。よかった。」
俺もつられて微笑んだ。
「少し体を動かしてきます。加州さんは寝ていてください。」
「ん。そうする。おやすみー。」
まだみんなは夢の中だ。
レンを見送って俺はまた横になった。