第38章 現代から帰還
また夢を見る…
木から木へと飛び移り、ひた走る。
立ち止まる度、速度が落ちる度にクナイが飛んでくる。
飛んでくる度に心にずきりと痛みが走る。
もうやるしかない…
私はクナイが飛んできた方向へと一気に駆け出す。
リヨクの姿が見えた。
クナイをぎゅっと強く握る。
たぶん次の一手は届かない。
修行で何度も私の急所に突きつけられたクナイ。
今度は寸止めされることなく刺さるだろう。
それでも、向かっていくしかない。
それが命令だから。
けれど、刺さったのは私のクナイだった。
赤が吹き出す。
流れ出る。
これが出てきたら、もう助からない。
わかってるのに。
何も出来ない。
あぁ、私の手は真っ赤だ。
レンは飛び起きた。
荒い呼吸を繰り返し、鎮めていく。
震える両手を見てみるも、当然血は付いていない。
服が汗を吸い、体にくっついている。
ーまた、夢か…。
辺りはまだ暗闇に包まれている。
夜が明ける気配もない。
変な時間に起きてしまったものだ、と一人ごちる。
レンはそれ以上休む気になれず、膝を抱えて顔を埋めた。