第38章 現代から帰還
「燭台切?」
レンは不思議そうにこちらを見上げる。
燭台切ははっとして少し困った様に笑いながら頬を掻いた。
「レンちゃんって美人さんだったんだね。いつもと違うからどうにも慣れなくて。」
「ほんと!レン、美人だよね〜。ボク驚いちゃった!」
「主様、すごくお似合いです。」
燭台切の言葉に乱と五虎退が同意する。
「美醜はわかりませんが、私も鏡を見て驚きました。」
「レンはキレイな子だったんだなぁ。驚いた驚いた。」
「ホント、驚いたぜ!」
鶴丸と太鼓鐘も加わり、しげしげと眺める。
「似合ってるぜ。た〜いしょ。」
薬研も少しの揶揄を含めてレンを褒める。
「いやはや、服や髪型が変わると別人の様ですね。普段いかにお手入れをサボっているかがわかります。」
お付きの狐は相変わらずの言いようである。
本人は気にも留めないが。
「主、似合ってる。」
「見違えましたよ。」
小夜と江雪が静かに賛辞を送る。
「今度は清光じゃなくて僕と現代に行こうよ。」
大和守はレンをしげしげと見ながら言い募る。
「いーや、次も俺が一緒に行くの!」
「いーや、僕が行く!」
「なら、俺も手を挙げとくか。」
「なら、俺も。」
「ボクも!」
「俺も!」
加州が大和守を牽制し、大和守が負けじと言い返す。そのどさくさに紛れて薬研、鶴丸、乱、太鼓鐘が参戦した。
「じゃあ、僕も手を挙げとこうかな。」
燭台切がレンににっこり笑いかけながら参戦し、彼女は顔を引き攣らせる。
「え?」
「ずるい!なら俺も!」
「ぼ、僕も主様と行きたいです。」
「鳴狐、私達も名乗りを上げますぞ!」
燭台切を皮切りに厚、五虎退、鳴狐が言い募り、小夜と江雪が黙って手を挙げる。
段々と収集がつかなくなりつつある。
「これ、誰かどうにかしてくれませんかね。」
レンはぼそりと呟いた。
大倶利伽羅は1人我関せずを決め込む様だ。