• テキストサイズ

君に届くまで

第37章 現代へ



「えーと…、この辺のはず…。あ、あった。」

加州はずんずんと進んでいき、目的の店の前で止まる。
表が全てガラス張りなのに、中の様子が全くわからない。
奥で数人白い服を着た人達が何か作業をしている。

「何ですか?ここ。」

レンは不思議そうに中を覗く。

「まぁ、入ればわかるよ。」

先程から彼はそれしか言わない。

ー何なんだ、一体。


加州はレンの手を引き、入り口に立つと、ドアが勝手に開く。
ピクリとレンの手が動いた事を不思議に思って振り返ると、驚いた様子で開いたドアを眺めていた。

「自動ドア、って言うんだって。」

加州は微笑ましく思い、レンに教えてやる。

「自動ドア、ですか…。」

レンは感心した様にそのドアを見やる。


「いらっしゃいませ。ご予約はございますか?」

「えっと、予約してないんですが、お願いできますか?」

「少々お待ち下さい。」

店員の女性が機械を操作する。

「1時間程お待ち頂ければ空きますが、どうされますか?」

「お願いします。」

「お2人で宜しいですか?」

「いいえ。この子だけお願いします。」

加州はそう言ってレンの肩を叩く。

「え?どういうこと?」

レンは、困惑気味に加州に尋ねるも、彼はにっこり笑ったまま何も言わない。

「承知致しました。ではこちらへどうぞ。」

店員はそう言って待合室に案内する。

「こちらに雑誌がございますので、ご自由にご覧下さい。」

そう言って、また戻って行った。

「店長さんに聞いた通りだ。」

加州はうきうきしながら、雑誌を選び出す。
レンは訳がわからず、加州の肩を揺する。

「説明を、説明を求めます!」

/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp