第37章 現代へ
「こんなのはどう?」
あれから、何とかしどろもどろ自分達の服装の言い訳をし、店員に服を見繕って貰えることになった。
加州と店員はあーでもない、こーでもないと、服を真剣に選んでおり、レンは完全に蚊帳の外だ。
かと言って服に興味も無いので、窓辺に立ってぼんやり道行く人を眺める。
裏通りの所為なのか人の通りは疎らで、最初に見た人混みが嘘の様に閑散としている。
だが、レンや加州の様な格好をしている者はおらず、皆、小綺麗な格好をしている。
成程、自分の格好は確かに目立つかもしれない、とレンは思う。
となると、潜入は夜に試みた方が成功率は高いだろう。そうなれば、1人の方が動きやすい。ここを出たら一度出直すべきか…。
レンはつらつらと今後の計画を立てていると、
「じゃ〜ん!見て見て、レン!
どう?俺のコーディネート!」
嬉しそうにくるりと回る加州の声で中断された。
「…よかったですね。」
としか、レンは言いようがない。
お洒落の事など聞かれても、良し悪しなんぞわかるわけがない、というのが彼女の言い分だ。
「…もっと他に言いようがないの?」
加州はがっくりと肩を落とした。
彼の淡い期待は見事に打ち砕かれた。
本気のコーディネートだっただけに、落ち込みはひとしおだ。
「いや、私に服のことを聞かれてもわかりませんし…。」
「うん、そんな気はしてた。ダイジョウブ。」
遠い目をしながら言われても、全く大丈夫そうには見えないが…。
レンは欠伸を噛み殺し、体を少し伸ばすと、簡易転移装置を出す。
「では一度帰りましょうか。対策を立てないといけ…」
「何言ってるの?レンの服もコーデするから。」
加州は、レンの全く興味のない様子を見て逆に火がついた。
「いや、あの、結構で…」
「店長さーん、この人のもコーデしたいから手伝ってもらえません?」
有無を言わさず、ずるずるとレンを引きずっていく。
ー店長だったのか、あの人。いつの間に仲良くなったのやら…。
加州は、絶対可愛くしてやるんだから!と意気込んだ。