第37章 現代へ
「どうぞ、お座りください。」
通された部屋は応接室らしい。
皮張りの高級そうなソファーに複雑な細工の施されているガラステーブル、赤を基調とした複雑な柄の絨毯。
足を入れるのも戸惑う程高級感が漂う。
加州達が戸惑っているのを見て取ると、少し笑いながら、大丈夫です、と中へ促した。
「あの、どうして俺達をここへ?」
「あなたが節子さんの刀だから、ですよ。あなたは刀剣なのでしょう?」
加州はまた瞠目する。
「…どうしてそれを…。」
「一度だけ、お会いした事があります。15年ほど前のことでしょうか。」
加州は目を瞬かせた。
「え、会ったことあるんですか?」
「えぇ。お二人で、こちらをお訪ねになりました。あの金はここでお買い求めになられた物です。」
加州は驚いて言葉を失った。
確かに何回か現代には来ていたが、全く記憶に無い。
加州が呆然としていると、男性はまたくすりと笑う。
「あの頃とは外観や内装も違いますから、わからないのも無理ないことだと思います。
あぁ、申し遅れました。私は藤崎と申します。」
そう言って、名刺を机の上に出した。
レンはしげしげとその名刺を眺める。