第37章 現代へ
「店長。」
店員は驚いて後ろの男性を振り返る。
そしてそのまま席を立つと、店長と呼んだ男性を連れて、少し席を離れたと所に移動して、内緒話を始めてしまう。
「加州さん、出ましょうか。ここに長居は無用です。」
レンは落ち込む加州を促して席を立つ。
戻された金と通行証を渡すと、彼はのろのろとそれらを内ポケットに戻した。
「他を当たりましょう。それで無ければ一度本丸に戻ります。」
レン達が出入り口に向かうと、後ろから追いかけてくる者があった。
「ちょっとお待ちください。」
先程の店長と呼ばれた男性だ。
レンは、不思議そうにその男性を見やる。
「あなたは加州さんと言うのですか?加州清光さん?」
「はい。俺は加州清光です。」
「二階堂節子さんをご存知ですか?」
加州は目を見開いた。
「節子さんを、主を知っているんですか?」
加州は聞き返した。
「やはりそうでしたか。」
その男性は納得したという様子で加州を見た。
「こちらへどうぞ。」
そう言って、加州とレンを奥の部屋へ促した。