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君に届くまで

第5章 審神者任命



「俺は嫌だ。この本丸にまた審神者を置こうなんて、絶対に認めない!」

そう言い捨て、何処かへ走って行ってしまった。

「僕も反対です。期待なんて出来ません。政府も政府です。今更何なんですか!」

堀川はそう言い捨てて、加州を追いかけて行った。
何故2人が怒りだしたのかレンにはさっぱりわからない。

「キミに恨みはないが、審神者を認められないのは俺も同じだな。
というわけで、キミが審神者になるのなら俺は今後一切関わらない。協力もしない。」

じゃあな、と言いながら去っていき、大倶利伽羅も黙ってそれに続いた。

「僕も認められはしないけど、話は最後まで付き合うよ。」

燭台切は困った風に笑う。
こんのすけは落ち込んで俯いてしまった。

「なら早速続きから。」

と、レンは委細構わず話の続きを促す。

「…君はマイペースだね。」

燭台切が苦笑しながら言うと、レンは

「すみません、感情の機微はよくわからないので。」

と答えた。









レンには気になっていた事があった。
こんのすけは、”審神者は邪気を祓う”と言っていた。

「邪気って何ですか?」

こんのすけは若干驚く。ならばこの辺りに満ちた清浄な気はどうやって起こしたのかと。

「邪気とは、口では説明し辛いものにございますね。
禍々しい空気と言ったらいいのか…。背筋が凍る様な寒々しく、くびり殺されるかの様な錯覚を覚える悪い気といったものでしょうか。」

「最初に入った時に感じた嫌な空気は邪気、なんですか?」

「おそらくは、それだと思います。
この本丸も封印が解かれる前まで、その様な気に満ちていたはずなのですが、貴方さまがいるこの大広間の周囲だけは邪気が薄らぎ清浄な気が満ちているのです。
てっきり貴方さまが浄化したものと思っていたのですが…。」

「…私は何もしていません。」

「そうですか…。もしかしたら、貴方さまはここにいるだけで邪気を浄化させる力をお持ちなのかもしれません。」

そう言うとこんのすけはレンに向き直り、頭を垂れた。

「先程、審神者に任命すると申しましたが、貴方さまは何もする事なく、ここに居てくださるだけで結構でございます。
何卒、こちらに住まい、留まってくださいませんか?」

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