第5章 審神者任命
こんのすけは、ここで漸くレンの事情を聞く。
「成程。それでは知らぬのも無理はありませんな。
しかし、不思議な事もあるものです。
ここは日本とは言っても、現世から切り取られた亜空間でもあるのです。
そこにいきなり人間が来れるものなんですね。」
こんのすけは心底不思議そうに言う。
「改めまして。わたくしは管狐のこんのすけと申します。
まずは、審神者の説明からさせていただきます。
審神者とは、先程も申しました通り、この本丸の主のことをいいます。
そしてこの本丸に住まうのは、この方々同様、刀剣の付喪神である刀剣男士です。
刀剣男士は時間遡行軍という歴史改変を目論む謎の軍団と戦うためにあります。
時間遡行軍は歴史の要となる時に現れ、本来成されるべき歴史の流れを覆そうとします。
それを阻止するのが役目でございます。
審神者は”眠っている物の想い、心を目覚めさせる力”があり、”邪気を祓い、清浄にする”力を持ちます。
その力を使い、戦場で傷付いた刀剣男士達の手入れをし、新しい刀には心を目覚めさせ顕現させる事が役割といえましょう。」
「そんな品行方正な審神者はいなかったけどな。」
鶴丸の茶々にこんのすけは、ぐっと言葉を詰まらせる。
「と、とにかく、この御技が振るえるお方は大変少なく、選ばれる事は大変名誉な事なのでございます。」
医療忍者みたいなものか、とレンは解釈する。
ただ、問題はそのやり方をレンは知らないと言う事だ。
それを問おうと口を開いた時に、ずっと黙っていた加州が声を上げた。