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君に届くまで

第37章 現代へ






「ここって…、」

「そ、現代だよ。」

そこには所狭しと四角い石造りの高い建物が立ち並び、広く滑らかに整備された道には、所狭しと箱型の金属が速い速度で通り過ぎていく。
そこここに、人が溢れ返り、人混みに酔いそうになる。

加州も初代に連れられて、初めて来た時には驚いたものだ。
呆然と佇むレンを加州は少し困った様に笑いながら見る。

「驚いた?」

加州の問いかけにレンは黙って頷いた。

加州が周囲に目を向けると、通り行く人が彼等に不審な目線を投げていた。
これは潜入どころではない。そこにいるだけで目立っている。
加州は呆然としたまま途方に暮れているレンの手を引き、歩き始める。目指すは質屋だ。
道行く人を数人捕まえては、目的の場所を聞き込み、レンを連れて歩いていく。

大通りから一本裏側に入ると、目的の店が見えてきた。



「いらっしゃいませ。」

自動ドアを入ると、スーツを着た清潔感のある若者が立ち上がり、加州達を迎える。
そして、個別ブースに案内され、席へ座るよう促される。

「本日はどういったご用件でしょうか?」

加州は、上着の内ポケットから金の延棒を一つ出すと、テーブルの上に置く。

「これを換金できませんか?」

「金ですね。お調べいたします。本日は身分証をお持ちですか?」

「身分証、ですか?」

「はい。運転免許証、保険証など、身元を証明できる証書はございませんか?」

さて、困った。そんなもの持っていない。
加州は言葉に詰まっていると、レンが横から口を挟む。

「通行証って使えないんですか?」

加州は、あれか、と呟くと、反対側の内ポケットから手の平程の大きさのカードを出す。

「拝見させていただいきます。」

店員はカードを手に取り、表、裏とカードを眺めている。
裏側に何か情報を見て取り、加州に尋ねた。

「こちらに、”時間軸保護・対策課”とありますので、お問い合わせさせて頂いても宜しいですか?」

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