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君に届くまで

第35章 禍ツ神の正体



「くそ!」

加州と大和守は歯噛みする。
どうしようも出来ないと分かっていても悔しいものは悔しい。

他の者も、やるせない気持ちでいっぱいになる。

「或いはと…思ったんだけどな…。」

「レンちゃんの神気で元に戻れば、ってね…。」

薬研の言葉に燭台切が応える。

「…レン、もういいか。」

鶴丸は顔を強張らせたまま、レンに問う。

「…はい。知りたい事は知れました。」

レンは腕を組んで考え込む。
何故、刀剣達が時間遡行軍になるのか…。
何故、政府が時間遡行軍に変える”すべ”を持っているのか。

敵だと認知されている時間遡行軍が、本丸を管轄している筈の政府の手元にいるという事実。
そして刀剣を時間遡行軍に変えた奴の存在。

ーこれが公になったらどうなるか…。

それを知るにはやはり、政府をよく知る者が味方にほしいところだ。

「…こんのすけが居る所って、何処なんですか?」

唐突なレンの問いかけに、彼等は面食らう。

「「「「は?」」」」

「だから、こんのすけが居る所を知りたいんです。」

「ま、待て待て待て!今度は何をする気だ!?」

それを聞いた鶴丸は慌て出す。

「こんのすけを連れ戻そうかと。」

「む、無理無理無理。こんのすけがいるのって現代でしょ?絶対行けないから!」

加州も慌てて止めに入る。
実際、自身も行き方を知らないとは言え、レンは何を仕出かすかわからない。無駄に行動力だけはあるのだ。

「そうですか…。じゃ、転移装置を試してみますか。」

そう言うと、すたすたと鳥居の方に歩いて行ってしまう。
政府が視察に使ったくらいだから、自分も使える筈と踏んでいるのだ。

彼等は時間遡行軍のショックも相まって呆然と固まったままだ。
はっとしてショックから立ち直った燭台切が慌ててレンの後を追う。

「待って!レンちゃん、ちょっと待って!何がどうなってこんのすけを連れ戻そうと思ったの!?」

「い、言わんこっちゃない。本当に何仕出かすかわからない。」

加州は顔を青くして頭を抱える。
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