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君に届くまで

第35章 禍ツ神の正体



「ヴヴゥ!グァヴヴ…。」

何とも形容し難い唸り声をあげながら3体の時間遡行軍が横並びに並ぶ。
それは邪気を放ち、もののけの様に目を光らせ、相手を威嚇する。
その姿は、控えめに言っても気持ち悪い。

「さてと、やってみますか。」

レンは何も動じる事なく時間遡行軍の後ろに回ると、頭を鷲掴みにする。

目を瞑り気を集中させると、生命の感触を探した。
僅かだが、ある。

邪気に包まれた最奥を狙い撃つ様に、チャクラを流し込む。

「邪気が…。」

彼等の呟きにレンが目を開ける。
靄が薄らいでいる。
もののけの姿の中にもう一つの影が見えた。

「あれは…浦島か…?」

厚が呟く。
彼等は愕然とする。本当に時間遡行軍の正体は刀剣男士だなんて…。
残酷な現実に打ちのめされる。

全て浄化しようと、レンはそのままチャクラを流し続けるも、途中で感覚が途切れてしまう。
まるで、水を溜める受け皿が突然消え失せてしまったかの様だ。
レンが手を離すと、それは光の粒子になり、徐々に消えていく。後に残ったのは、穴の空いた氷の球体だけだった。

乱が膝から崩れ落ちる。

「そんな…。」

愕然としながら現実を飲み込む。
あんな人の言葉も理解しているのかもわからない様な醜い化け物が成れの果てなんて…。

彼等は恐ろしさに身震いする。

「俺達は、今まで仲間と戦っていたのか…。」

「次からは、簡単に斬れなくなったな…。」

「仲間内で殺し合いなんて、吐き気がする…。」

薬研、鶴丸、加州の呟きに、彼等は同意を示す。
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